遺産分割について弁護士が解説

遺産分割

遺産分割制度

相続が開始され,同順位の相続人が複数いる場合,これらの相続人は共同して相続人となり,これらの相続人は,その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継します。

遺産分割は,この遺産の共有関係を解消し,各共同相続人の間で個々の相続財産を配分し,その帰属先を決定することです。

遺産分割が行われると,その効力は相続開始の時まで遡ります。

この遺産分割は,共同相続人全員で行う必要があります。

また,遺産分割協議は法律行為なので,法律行為一般の原則に従って無効,取消が認められたりする場合があります。

行方不明(音信不通)の相続人がいる場合の遺産分割

遺産分割協議は共同相続人全員で行うので,行方不明の相続人がいる場合,遺産分割協議ができなくなります。

この場合は,行方不明者につき,調査を尽くしてもその住所地が判明しない場合には,その者を不在者として手続きを進めることができます。共同相続人は,遺産分割協議を行うため利害関係人として,財産管理人の選任を家庭裁判所に求めることになります。

遺産分割協議は,不在者の財産管理人が参加して行うことになりますが,財産管理人は,通常,遺産分割協議事項につき家庭裁判所の許可を得る必要があります。

認知症の相続人がいる場合の遺産分割

遺産分割協議は法律行為なので,法律行為の一般原則に従う必要があります。

認知症の相続人は,成年後見人が認知症の相続人に変わって,遺産分割協議に参加します。

相続人に未成年者がいる場合の相続放棄

未成年者の場合も,未成年者の法定代理人である親権者が,未成年者に代わって遺産分割協議に参加します。

ただ,次の場合は,利益相反行為となるので,家庭裁判所に未成年者のために特別代理人の選任を求める必要があります。

ア 親権者と未成年者とが共同相続人であり,親権者が未成年者代理人としても遺産分割協議に参加する。

イ 親権者を同じくする複数の未成年者の相続人がいて,その親権者がそれぞれの未成年者の代理人として遺産分割協議に参加する。

非嫡出子がいる場合の遺産分割

従前,民法は,非嫡出子の法定相続分は,嫡出子の半分であると規定していました。

しかし,平成25年9月4日,最高裁は「嫡出子と非嫡出子の相続分につき差を設けることは,遅くとも平成13年7月当時において,法の下の平等を規定する憲法14条1項に反し,違憲である」と判断し,この判決を受け民法も改正されました。

したがって,非嫡出子も嫡出子と平等の相続分となります。

ただ,この最高裁決定は,平成13年7月から平成25年9月4日までの間に開始された相続について,遺産分割の審判等により「確定的なもの」となった法律関係には影響を及ぼさないとも判断しています。

面識のない相続人がいる場合の遺産分割

遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。

面識のない相続人も相続人ですから,遺産分割協議に参加する必要があります。

面識のない相続人との間で,遺産分割について「協議が調わないとき又は協議をすることができないとき」は,家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをすることができます。

以上

この文書は,弁護士久保田和之が作成しました。

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