遺産分割協議書とは
遺産分割とは,共同相続における遺産の共有関係を解消し,遺産を構成する個々の財産を各相続人に分配して,それらを各相続人の単独所有に還元する手続きをいいます。
遺産分割協議とは,上記遺産分割について相続人間で話し合い,遺産の分け方を話し合うことを意味します。
そして,遺産分割協議書とは,相続人間における上記遺産分割協議の合意内容を記載した法的な書面をいいます。
遺産分割協議書を作るまでの相続の流れ
遺産分割を開始してまずいきなり遺産分割協議書の作成に着手するわけではありません。
遺産分割協議書の作成までに、下記の手順を踏む必要があります。
被相続人が死亡して相続が開始します。
↓
相続人と相続財産の調査を行います。
同時に遺言書の有無の確認も行います。
↓
遺産分割協議を行います。
↓
遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書はどんな時に使うのか
相続人間において遺産分割協議書が完成したら,それを用いて各種の名義変更を行うことになります。
不動産の名義変更
不動産を相続する場合,法務局で不動産の相続登記申請の手続きをしなければなりません。その際に,遺産分割協議書が必要となります。なお,その他にも、被相続人の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本等、住民票の除票、相続人の住民票や相続人の印鑑登録証明書なども必要となります。
不動産の相続登記申請手続きは複雑なため,当事務所にご相談いただければ司法書士を紹介することができます。
預貯金の名義変更・解約払戻
遺産分割協議により被相続人の預貯金を相続した人は,遺産分割協議書を持参して,金融機関で,名義変更や解約払戻の手続きをする必要があります。
名義変更・解約払戻の申請書の書式や戸籍謄本等の必要書類は金融機関によって異なるので,事前に調べてから手続きをすることをお勧めします。当事務所にご相談いただければ,御教示いたします。
株式の名義変更
遺産分割協議により被相続人の株式を相続した人は,遺産分割協議書を用いて株式の名義変更を行う必要があります。
基本的には,被相続人の証券口座を管理する証券会社に相続人の証券口座を開設し,被相続人の証券口座から相続人の証券口座に株式が移管され,株式の名義が書き換えられるという流れになります。
株式の名義変更に必要となる書類等は,証券会社により異なる場合がありますので,事前に調べてから手続きをすることをお勧めします。
自動車の名義変更
遺産分割協議により被相続人の自動車を相続した人は,遺産分割協議書を用いて自動車の名義変更を行う必要があります。
普通自動車の名義変更は,新所有者の住所を管轄する運輸支局で行われます。軽自動車は,新所有者の住所を管轄する軽自動車検査協会で行われます。
遺産分割協議書に記載が必要な項目や注意点
1 被相続人や相続人を,氏名・本籍・住所・生年月日・被相続人との続柄などで明確に特定する必要があります。
2 氏名・住所は,住民票や印鑑登録証明書に記載されているとおりに記載する必要があります。
3 遺産である不動産は,登記事項証明書の記載によって,明確に特定する必要があります。
土地は所在・地番・地目・地積,建物は所在・家屋番号・種類・構造・床面積を明記する必要があります。記載が不明確ですと,不動産の登記申請手続きのときに問題となるので注意が必要です。
4 預貯金等の財産についても,他の財産との区別が可能な程度に明確に特定する必要があります。
5 各相続人は,遺産分割協議書に,氏名を自署し,実印で押印するべきです。また,各相続人は,印鑑登録証明書を添付することが望ましいです。
6 各相続人が遺産分割協議書を1通ずつ所持できるように,相続人の人数と同じ数の遺産分割協議書を作成すべきです。
7 遺産分割協議書が複数枚になった場合,各用紙の間に全相続人の契印をするべきです。
8 現在判明していない遺産が今後発見された場合,誰にどう分配するかについても決めておくことが望ましいです。
9 今後の紛争の可能性を減らしたい場合は,公正証書の利用も検討するといいでしょう。
遺産分割に関するお悩みは、鷹匠法律事務所までご相談ください
遺産分割協議の段階から弁護士にご相談いただければ,相続人のニーズを踏まえて,適切な遺産分割案を提案し,遺産分割協議書を作成することが可能となります。相続人間で揉めている場合は,弁護士を間に入れることにより,冷静かつスムーズに話し合いを行い,解決することができます。
遺産分割協議後であっても弁護士にご相談いただければ,遺産の漏れを防止し,明確な文言による記載を徹底することで,適切な遺産分割協議書を作成することが可能となります。
当事務所は,50年以上の歴史があり,遺産分割協議書の作成に通じている弁護士が多数在籍しております。遺産分割協議に関してトラブルがある方や遺産分割協議書の作成方法についてお悩みの方は,当事務所にお気軽にご相談ください。