保険契約者と被保険者が同一の生命保険契約で,保険契約者が指定した死亡保険金の受取人が,生命保険金の請求権を放棄した場合,生命保険会社は誰に生命保険金を支払うべきですか?

生命保険金の請求権を放棄した場合

保険契約者と被保険者が同一の生命保険契約で,保険契約者が指定した死亡保険金の受取人が,生命保険金の請求権を放棄した場合,生命保険会社は誰に生命保険金を支払うべきですか?

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死亡保険金受取人が,死亡保険金の請求権を放棄することは,当然ながら可能です。

その場合,生命保険会社は,誰にも生命保険金を支払わなくてもよいのでしょうか。

大阪高裁の平成11年12月21日判決は,「被保険者が死亡すると,保険契約者の保険契約に関する処分権は消滅し,保険金受取人の権利は確定的となり,具体的な金銭的債権となる。そして,この保険金請求権は,通常の債権と変わりがないので,保険金受取人は, これを自由に処分することが可能となる。保険金受取人がこの請求権を放棄すれば,保険金請求権は確定的に消滅したというほかない。」と割り切った判示をしています。

しかし,これでは,保険料を支払った保険契約者兼被保険者の意思を無視するものだと思います。

保険契約者兼被保険者は,保険金受取人が請求権を放棄すれば,自己を受取人として,相続人に死亡保険金を受領させようとの意思を有しているかもしれません。

学説では,この場合,保険契約者の合理的意思を尊重して,この保険契約は受取人の指定のない契約だとみるのがよいとするのが有力です。

生命保険会社の実務の扱いでも,大阪高裁のような立場を取らず,保険契約者が自己のためにした契約だと考えて,保険契約者の相続人に死亡保険金を支払っているとのことです。

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